談話での類推は聞き手が話し手の発話をより的確に受けとめようとする動機による類型と話し手とは異なる観点から発話を認識することにより生ずる類推に大別することができる。本研究では前者を内容確認の類推と称してその様態を五つの類型に分類して考察した。発話のメカニズムは異なっていても五つの類型の底辺を流れる発話の動因は言われた原発話をより的確に受け止めようとする聞き手の談話欲求の発露の一点に集約された。もう一つの様態に話し手が言われた原発話を異なる観点から認識発話することにより生ずる類推があった。これは談話に登場する人物を聞き手側の立場から認識することがその典型となる。本稿ではこうした類推を内容応用の類推と称してその類推が誰にも同じく可能であるか否めかを基準に客觀的類推と主觀的類推と分け、前者を「内容応用の客觀的類推」後者を「内容応用の主觀的類推」と称して考察してみた。続いて主観的客観的を問わ内容応用の類推の発話の仕組みを三つに分けて考察してみた。因みに、内容応用の類推様態の分類はその形態だけで決められるわけにはいかないことを例を中心に調査してみた。聞き手の発話がただ原発話の概念の外延の表現と改変された発話は原発話を的確に了解したり原発話から他の情報を認知した表示でもないので類推の範疇からは外れるべきであるがその例外になる言い方に関して考察してみた。