本稿は, 従来, あまり注目されることのなかった韓国語の{-어다}有りタイプの動詞結合について, ①音韻・音声, ②統語, ③意味の三つのレベルから分析を加えたものである。その結果, 数の分布という観点から以下のような特徴を指摘することができた。
1)句として分析可能なものが豊富である。
2)文脈次第で句としても複合動詞としても分析可能なものが僅かしか存在しない。
3)複合動詞として分析可能なものも僅かしか存在しない。
さらに, 本稿では, 日本語との対照という観点から, 従来の研究では言及されていない以下の二点も指摘し, 日韓語の動詞結合に関する対照研究を行う際は, これらの点を念頭に入れる必要があることを確認した。
4)対応するタイプが複数である場合は, 原則として同じタイプ同士で対照を行うべきである。
5) 介在要素有りタイプにおいては複合動詞であっても一部の要素による境界部の分離可能性を認めるべきである。