本研究は1910-20年代に植民地韓国とハワイで行われた移住日本人の文学活動を比較して、日本人ディアスポラ文学の特性を窮めようとしたものである。研究の結果によると、韓国移住民の場合、移住第一世代は韓国を自分のお金儲けの土として受け入れているし、移住第二世代に当たる中西伊之助や湯淺克衛、新井徹のような詩人·作家は当時日本で発生した大正デモクラシーの影響を受けて移住現地で習得した文学的な郷土性が植民地支配勢力に対する批判的な言説形式で表出したことが分かる。一方、ハワイ移住民の場合は前世代の母国回帰的な傾向とは異なって一切の政治性を排除したまま自由な個性と郷土色深い文学テクストを残している。これは同時代の東アジアにおける日本の覇権的な地位と地理的な隣接性が両地域の移住民文学の性格を決める重要な原因に繋がっていることを話してくれるものと思われる。また、韓国移住民が地理的な隣接性のため母国回帰の傾向性を表していることと違って、ハワイ移住民はその未来をアメリカ大陸から求めているのも大きな違いの一つであった。