本研究は、ジェンダーの観点から見た近代日本語の研究である。具体的には明治時代に刊行された女性雑誌を対象とし、そこに現れた女性及び女性語に関する言説を分析したものである。女性を表現する方法は大きく三つに分けられる。例えば、1)女性を強調する方法2)女性を隠す方法3)女性を男性と区別する方法などが挙げられる。女性雑誌の言説をジェンダーの観点から考察した結果、当時の雑誌の言説に投影された女性に対する社会的な役割、地位、家族観、婦人像、価値観など男性との相違を確認できた。そして、『青鞜』(明治44年)雑誌の喜劇における性差表現を分析することで、明治後期の女性語の特徴も理解でき、既存の小説以外の近代日本語の実態を把握できた。