日常語である「先生」の語義について、呼称として用いられる場合に限定し、辞書記述にあるものを俯瞰した後、実際の用例を観察し、さらに類似する呼称「師匠」が用いられた用例との対比を通じ、辞書記述にみられない「説得的な『語り』によるはたらきかけ」という意味特徴の存在を指摘した。また、「一次的ことば」、「二次的ことば」の考え方を援用し、我々の呼称「先生」の使用が、辞書的意味、経験的意味両者の複合によって行われるものだと結論づけた。
1. はじめに 2. 本稿における筆者の立場、および先行研究 3.「先生」の、辞書記述にみられる意味 4. 呼称としての「先生」の、使用実態にみられる意味 5. 辞書的な意味では網羅できない点 6. 結語 ◀ 参考文献 ▶