註解千字文は、千字文を4字1句の韻文としてとらえ、各句の意味を理解しようとする目的から作られた、注釋書としての正確をもつ書物である。本稿ではまず、韓國の千字文の學習と刊行について歷史的な記錄をもとに考察し、その後、註解千字文の漢文注を、中國の淸代に作成された千字文注釋書である千字文釋義の注釋と比較を行った。
その結果、兩者が相違を示すのは250句のうち13句が確認された。つまり、註解千字文の漢文注は、釋義の注釋と約95%の句において內容的に一致しているのである。吳美寧(2015d)で考察した注千字文と釋義を比較において、25句が相違を示していたが、それに比べ約5%ほど少ない數値である。注千字文と釋義が作られた時代的隔たりに比べ、釋義と註解千字文は近接しているだけに、註解千字文の作成に釋義を參照した可能性も考えられる。しかし、何より註解千字文の漢文注は量的にたいへん少ないため、注千字文と釋義の比較の場合より、比較に限界があることは否定できない。