本稿は現代日本語の助詞 「マデ」 を對象とし, 取り立て詞の用法の文法的な特徵につい て論じたものである。 まず定量的な分布を通じ, 取り立て詞の用法が全體の例の中で13.6%の比率を占める し, 格助詞との比率は槪略4對1位である事實を確認した。その後, 取り立し詞 「マデ」 の文 法的な特徵を 「マデ」 を含む名詞句, 「マデ」 に關わる述語部, 構文的な觀点といった大き く三つのレベルに分け, 考察を試みた。その主な結果をまとめると次のようになる。 まず, 名詞句の觀点からは比較的に分布が自由である点と, 「ガ」 「ヲ」 「ニ」 などの格助 詞を代行している点, そして 「マデ」 の前には極限の意味を持つ名詞が來られるという点を 指摘した。 次に述語部の特徵としては格助詞の用法で見られる特定類の動詞とのむすびつきが取り 立て詞の用法では見られず多樣な述語が現れる点と, 話し手の意外性という意味特徵から 話し手の直接認識を表わす斷定形が多く見られるという事實を指摘した。 最後に, 構文的な觀点からは序列を表わすコンテキストが明示され, 幾つかの構文的な パタンが見られるという点を確認した。また, 意圖性副詞と感嘆副詞, 「そんな」 などの指示 詞が共起される点と, 話し手の意外性を具體化する述語が用いられるという点などを指摘し た。