日本語の文末表現における「の, んだ」は形式名詞「の」に助動詞「だ」が結びついた形として、主に話者の多樣なモダリティを表す。このような「の, んだ」は一般に文末で背後の事情や實情の說明、强調、命令、聞き手に說明を求める場合に使われる。一方、「の, んだ」がface行爲理論という視点から談話の流れの中では、相手のfaceを保持し、或は、相手のfaceを脅かさないようにfaceを補償する機能を持ち、また、相手のfaceを脅かすface-threatening 機能や相手の發話に存在する「不十分さ, insufficiency」によるface-threateningに反發するanti-face-threatening機能を持っていると思われる。本硏究では、談話の流れの中で用いられる文末表現「の, んだ」を取り上げ、face行爲理論という觀点からそれを分析する。さらに、「の, んだ」が談話の進行に果たす役割を重視し、その機能を提示しながらface行爲との關連を考察する。文末表現「の, んだ」を談話レベルでとらえて、聞き手と話し手の間に用いられる談話における意味關係をface行爲に基づいて把握することで得られるものである。また、その機能や意味を明らかに分析するためには、face行爲理論という談話分析の仕組みが必要だと思われる。