1910年代に「少女小說作家」で少女讀者向けの新しいジャンルを確立した吉屋信子(1896~1973)は,『少女畵報』に『花物語』の投稿を始めとして純文學、大衆文學、中間小說などフェミニズム性向が著しい作品をもって女流文學史に大きい業績を殘した。しかし信子文學のキリスト敎と係わる硏究は皆無に近いので、本稿では新しい觀点で『花物語』分析を試みた。『花物語』は作家が幼い頃に經驗したキリスト敎體驗を土台に執筆されており、文學の領域が狹かった時期に西毆文明の異國的趣が加味された獨特の作品である。理想的なキリスト敎文學作家は文學とキリスト敎の中で一方にかたよらず兩方の調和を實現した作家である。作家、主題、素材をキリスト敎的性向ものとにキリスト敎文學的な側面で信子の作品を糾明する時、彼女の作品の中ではキリスト敎的環境で執筆された『花物語』のみがキリスト敎文學とされる。『花物語』は主題と素材面でキリスト敎的要素がよほど濃厚であり、特に幼年期のキリスト敎體驗がキリスト敎文學に定着されたという事實を見せてくれる。『花物語』の「向日葵」と「忘れな草」には主題と素材面でキリスト敎的要素がよほど濃厚であり、特に幼年期のキリスト敎體驗がキリスト敎文學に定着されたという事實を見せてくれる。「向日葵」と「忘れな草」には花と少女の關係からキリストを見出し、それがキリスト敎信仰の核心的象徵である信に解釋されていることを確認することができた。