日本との交流が活發化し、相互への關心が高まってきた今日、質の高い敎育を實施できる母語話者日本語敎師(以下母語話者敎師を呼ぶ)が求められている。本硏究は、韓國における質の高い敎師とはどのような敎師であるのかを知るために、韓國の大學、特に4年制大學に注目し、學習者、韓國人敎師、さらに母語話者敎師自身にも調査を行い、包括的なデ―タによって韓國の4年制大學が求める母語話者敎師の役割及び能力を明らかにする。さらに三者の調査結果の比較を通して、今後重点的に養成すべき敎師の能力を發見することを最終目標としている。本稿では、まず、韓國の敎育環境に適合した質問紙の作成のために學習者と韓國人敎師を對象に質的調査を行った。その結果、學習者側においては、母語話者敎師の必要性、受講したい科目、韓國語能力の必要性、希望する敎師の專攻が明らかとなった。韓國人敎師側においては、採用に關する事項では、母語話者敎師の採用理由、採用方法、採用基準、職位、赴任期間が、役割に關する事項では、擔當科目、敎育環境、今後擔當させたい科目が明らかとなった。また期待する役割が、授業だけではなく、授業以外に及ぶことや、敎師の評價がほとんどの大學で實施されていること、またその評價方法がわかった。しかし、學習者と韓國人敎師に對する質的調査を通して共通していた点は、兩者とも母語話者敎師を求めているが、具體的な役割や能力に關しては回答が多岐に渡っていたという点である。これらをより明確にするために、質問紙を作成し、まず學習者が求める母語話者日本語敎師像についての調査を行い、調査結果は因子分析を使用して行った。その結果、學習者の求める母語話者敎師の役割及び能力として「人間性」「日本語敎師としての專門性」「敎師としての付加的役割と能力」「學生への配慮及び授業以外の役割」「韓國文化への理解」の5因子が抽出された。