芥川龍之介の習作及び初期作品にはアナト一ル·フランスの「バルタザアル」、イエ一ツの「ケルトの薄明」より」と「春の心臟」、テオフィル·ゴ一チエの「クラリモンド」などの?역作品が多數ある。本論文では芥川文學の習作作品にあたる「靑年と死と」を初めとする初期作品の女性像の特徵を同じ時期になされた?역作品-特に「バルタザアル」と「クラリモンド」の女性像のそれと比較しながら檢討した。 その結果靑少年時代に東西古今の圖書を讀みあさり、『バルタザアル』や『クラリモンド』などを直接?역した芥川にとって、そのような作品の女性認識は意識的であれ無意識であれ大きく影響を及ぼしたことを確認した。そのことから言えるのは、現실生活での戀愛の失敗が女性を利己的で否定的な存在として認識させたのではなくて、逆に『バルタザアル』と『クラリモンド』をはじめとする作品を?역しながら經驗した讀書번驗の方が、その作品の主人公とほぼ同じ年齡(二二歲)であった靑年作家芥川をして吉田?生との戀愛の失敗という事件を媒介にして女性の利己的で否定的な側面を認識させていったのではないかということである。 このように解釋してからこそ、「わたしが人生を知ったのは、人と接した結果ではない。本と接した結果である」とか、「彼は人生を知るために、街頭の行人を眺めなかつた。寧ろ行人を眺めるために本の中の人生を知らうとした」という人生態度を貫いた芥川の女性像の特異性が浮かび上がると見るのである。