(1)のような「推量」形式としての「だろう」と「ㄹ것이다」「겠지」の對應關係は, 一應ながら認めれられてきたと言ってもよさそうである. (1)たぶん明日は雨が降るだろう. (2)ほら, やっぱり彼も來ただろう. (3)これは何だろう. ところが, 從來の硏究では, 「推量」の「だろう」との對應關係だけに目が向けられ, 「だろう」の他の用法との對應關係については, ほとんど分析されていないようである. (2)のような「確認」の用法の「だろう」との對應關係, (3)のように文中に不定語(疑問詞)を含む不定疑問文の「だろう」との對應關係がそれである. 本稿が分析した, 「だろう」と韓國語の對應關係をまとめると, 次の表のようになる. 「だろう」は, 「命題目當てモダリティ」と「聞き手目當てモダリティ」の兩方にまたがる兼用形式である.「推量」の「だろう」が「命題目當てモダリティ」, 「確認」の「だろう」が「聞き手目當てモダリティ」に當たる.「不定疑問文」の「だろう」は, 命題內容に對して疑問の意を提起する性格のものであったので, 本稿では, これを「命題內容目當てモダリティ」として假に分類した. 本稿は, 確認の「だろう」と韓國語の確認型終結語尾の[지]との對應關係を明らかにした. また, 不定疑問文の「だろう」と, 韓國語の疑問型終結語尾の[ㄹ까]との對應關係を明らかにした. 日本語の他の推量形式, たとえば, 「ようだ」「らしい」「みたいだ」などが韓國語の確認型終結語尾の[지]や疑問型終結語尾の[ㄹ까]と對應するということはまず考えられない. このように複雜多樣な樣子を見せる「だろう」と韓國語の對應關係は, 發話時現在において結論を定めず, 命題內容の一部についてまだ疑問を抱き([ㄹ까]との對應), 殘りの結論に至るまでのプロセスを聞き手とともにしようとする([지]との對應), 「だろう」の多義性を充實に反映していると言えるのではないだろうか.